【症例紹介】会陰ヘルニア

会陰ヘルニアとは、会陰部(お尻周り)の筋肉が菲薄化し、腹腔内の臓器が会陰部に逸脱してしまう病気です。主に直腸の逸脱が多く見られますが、膀胱や前立腺などの臓器も逸脱する場合があります。

未去勢の子に多いですが、去勢済み、希に雌でも発生します。

症状は逸脱している臓器によりますが、直腸の場合は排便困難、膀胱の場合は排尿困難を呈する事が多いです。

今回の症例は、未去勢、ダックス、10歳。

症状は排便困難で、直腸検査により肛門の左側に直腸の逸脱が認められました。

手術内容は、開腹による結腸固定、去勢手術、ヘルニア整復を行いました。

腹壁に結腸を固定

ヘルニア整復の方法は生体内の組織を用いてヘルニア孔を閉鎖するやり方と、メッシュ等の人工物を用いて閉鎖する方法があります。しかし、人工物を入れると、異物反応が生じる場合があるので、今回は生体内の組織を用いて閉鎖しました。

靭帯、筋肉、骨膜等を用いて閉鎖しています。

ヘルニア孔の閉鎖

術後しばらくは、腹圧を軽減する為に、便軟化剤を服用します。

ヘルニア整復後、左右均等に力が加わるようになると、反対側(正常な方)でヘルニアが生じる可能性もあるので、注意が必要です。