ダックスフンドの脛骨異形成症

脛骨異形成症(Tibial Dysplasia)は脛骨の成長異常によって起こる後肢の疾患です。

脛骨は内側に反った形に変形するため内反足(Pes Varus)とも呼ばれています。

ダックスフンドに多く見られることから遺伝性疾患と考えられています。

脛骨異形成症では足根関節、膝関節に負担がかかることから脛骨の変形を矯正する治療が必要になる場合があります。

写真はダックスフンドの後肢ですが、右後肢の内反変形があり、歩様の異常がありました。

左画像:右後肢 右画像:左後肢

X線検査で右側脛骨の内反変形と膝蓋骨外方脱臼が認められました。

3D-CT画像でより詳細な右側膝蓋骨の外方脱臼と脛骨の変形を診断しました。

脛骨の変形を矯正しないと膝蓋骨脱臼を整復しても再脱臼してしまうので、治療は手術によって膝蓋骨の脱臼整復と脛骨の角度を矯正します。

矯正手術方法には様々な方法がありますが、開放型骨切り術(Open Wedge)のプレート法によって良好な治療成績報告されているため、同様にプレート法で治療しました。

骨の変形にはCORA(Center of Rotation of Angulation)とよばれる変形の中心になる部位があります。本症例の場合もCORAでの矯正骨切りをおこないました。

脛骨の内反が矯正できたことを確認して固定しました。

手術後のX線検査画像では膝蓋骨が正しい位置に整復固定されていて、脛骨の内反変形が矯正されています。

左:手術前 右:手術後

手術前と比べて手術後の右後肢はまっすぐになり、骨も完全に治癒したため走り回れるようになりました。

動物にとって歩き走るという行動はとっても大切です。

喜びをいっぱいに、夢中になって走り回っている動物たちを見ていると言葉を話さない動物たちにとっての走り回ることは表現方法の一つで、健康的な生活を送る手段だと思います。

そんな動物たちの喜びある生活をサポートする事にはやりがいを感じます。

当院では動物たちの豊かな暮らしのため、整形外科疾患の治療に力を入れています。

どこか痛そう、歩きたがらないなどお困り事がありましたらご相談ください。