犬の脾臓腫瘍

こんにちは! 獣医師の高山です😊

今回は症例報告になります💡

8歳の男の子です🐕

日に日に食欲が落ちてきたということで来院されました。

お腹の超音波検査にて、脾臓に大きな腫瘤(約3㎝×4㎝)が見つかりました!

悪性腫瘍の可能性があり、良性または腫瘍ではない場合も放置すると破裂し、命にかかわる問題になるため脾臓摘出手術を行いました。

また、手術の前に、X線検査、CT検査を行い他の臓器に腫瘍の原発巣や転移がないかを確認しました。

摘出した脾臓がこちらです。

病理組織検査の結果は間質肉腫という悪性腫瘍でした。

術後の経過はとても順調で、脾臓腫瘤による胃の圧迫がとれ、食欲もしっかり戻っていきました😌

術前のCT検査では、幸い他の臓器に転移はありませんでしたが、結果が悪性腫瘍ということもあり抗がん剤治療、定期的なモニターを続けています。

 

ちなみに

☆脾臓の疾患について☆

脾臓に起きる疾患は、大きく腫瘍性疾患、非腫瘍性疾患、その他の疾患に分けられます。

腫瘍性疾患が占める割合は犬では約50−60%、猫では37%と報告されています。中でも犬の脾臓の腫瘍性疾患の80%は血管肉腫という悪性腫瘍で、猫では肥満細胞腫などが一般的です。

非腫瘍性疾患では結節性過形成や血腫、その他の疾患は外傷、脾捻転などです。

脾臓とは赤血球の貯蔵と破壊、造血、免疫にかかわる臓器です。

犬では全血量の1/3、猫では1/6貯蔵されているため、多くの脾臓腫瘤は血液供給が豊富です。

そのため、大きくなった腫瘤が破裂し腹腔内で大出血を起こすとショック症状を起こします🔥⚡💣

また、出血のない症例の多くは今回の子のように食欲不振、嘔吐などの非特異的な症状を示す事が多いので、画像検査をした際に偶発的にみつかることも珍しくありません。

脾臓の腫瘤は腹部超音波検査、X線検査、CT検査で画像診断はできますが、確定診断には病理学的検査が必要になります。

治療法は脾臓の摘出(ほとんどの場合全摘出)が一般的です。

最近元気がないな、以前はご飯を完食していたのに残す事が増えたな、など些細なことのように感じがちですが、実は病気が隠れていたりする事がありますので、健康診断の際に血液検査に加えて画像検査をしてみたり、些細なことでも気軽にご相談ください!