今回ご紹介するわんちゃんは同居の大型犬に頭部を噛まれ、頭蓋骨を骨折してしまったボーダーコリーの子犬です。
ご自宅で同居犬と喧嘩してしまい、噛まれた後に鼻出血が止まらないとの事で他院よりご紹介いただきました。
来院時の所見は、鼻出血は少しおさまっていましたが右眼球が若干前方に出ていました。
右前頭部を触ると骨の軋轢音を触知しました。
脳神経学的検査では異常は認められませんでした。
頭蓋骨の構造は複雑なためCT検査を実施しました。
CT断層撮影画像
3D CT画像
右の前頭骨が陥没骨折と診断しました。
前頭部には前頭洞という空間があり、前頭洞は鼻腔とつながっています。
このわんちゃんは前頭骨が陥没骨折し、前頭洞内で出血したため鼻出血が止まらなくなっていました。
また陥没した骨片が眼球を前方に押し出してしまっていました。
手術によって骨折した前頭骨を整復固定しました。
前頭部を露出したところ、前頭骨が丸く骨折し嵌入していました。
前頭洞内に落ち込んでいた骨片を戻し、ロッキングプレートというインプラントを複数使用して固定しました。
術後のCT断層撮影画像です。
前頭洞内に落ち窪んでいた骨は元に近い形で整復されました。
落ち窪んでいた骨片が右眼球を圧迫していましたが、圧迫もなくなりました。
術後合併症や後遺症もなく経過は良好でした。
当院では様々な骨折を診断治療しています。
骨の形状や骨折部位によって使用するインプラントは様々です。
当院ではいかなる骨折にも対応できるように色々なインプラントを導入しています。
動物たちの豊かな暮らしのためには歩き走るという行動は大切です。
当院では整形外科疾患の治療に力を入れています。
わんちゃん猫ちゃんがどこか痛そう、元気がないなど気になることがありましたらご相談ください。