骨折の治療を行う際には、どのような骨折なのかをしっかりと診断することが大切です。
〇 完全に骨折しているか
〇 開放骨折かどうか(骨折した骨が皮膚から突き出てしまっていないか)
〇 骨折のタイプ(単純骨折か粉砕骨折か)
〇 骨のどこが骨折しているか(関節に近いところが骨折しているのか、骨の中央部で骨折しているのか)
〇 骨折の原因は何か(外傷性なのか、腫瘍などの病気による骨折なのか)
〇 骨折の部位(どこの骨が骨折しているのか)
〇 骨折した骨がどの程度変位しているか(ズレてしまっているか)
骨折の診断をする際には上記の事を注目して診断治療を行っています。
今回の猫ちゃんは2歳の日本猫で、これまでは特に病気をしていない健康な子でした。
自宅で受傷し、その後歩けなくなってしまったとの事で来院しました。
整形外科学的検査(触診検査)で左大腿骨の不安定性、骨の軋轢を検出しました。同時に被毛に血液が付着していたため、毛刈りを行い患部を確認しました。
大腿部で一部皮膚に穴が開いており、骨折した骨が皮膚から突き出てしまっていましたが、穴が小さく傷の程度も小さいことから手術による治療が可能と判断されました。
すぐに患部を消毒し、抗生剤を投与しました。
レントゲン検査を行ったところ、大腿骨頸部の単純骨折、骨幹遠位の粉砕骨折がみとめられました。
先述の診断ポイントにあてはめると、今回の猫ちゃんは
〇 完全骨折
〇 開放骨折
〇 単純骨折プラス粉砕骨折
〇 股関節に近いところと、中央よりやや下での骨折
〇 外傷性骨折
〇 大腿骨骨折
〇 膝に近い骨が大きくズレている
ということになります。
治療の計画は直ぐに消毒洗浄し、手術による骨折部位の固定をおこなうこととしました。
股関節に近い骨折は整復せずに骨頭切除をおこない、骨幹部の粉砕骨折は元通りにすることは不可能な骨折で強固な固定をする必要があることからピンと2枚のプレートを使用して膝関節の位置を正しく整えて整復固定をおこないました。
骨折の診断と治療は、様々ですが正しく診断することで正しい治療方針を立てることができます。正しい治療法とは合併症や後遺症の少ない治療と言い換えられます。
手術治療の目的は少しでも早く痛みを軽減し、早期に痛めた四肢を使用してワンちゃんネコちゃんが生活できるようになることです。
骨折や脱臼など整形外科疾患でお困りの方は当院にご相談ください。