今回は肛門腺に腫瘍が出来た猫ちゃんのお話です。
肛門腺とは縄張り行動に使われる分泌液を産生する器官の一つで、室内飼育が多くなった現代ではあまり必要のないものとされています。
ちなみに肛門腺の分泌液は個体差が強く、色や匂い、性状は様々です。
一説ではこの分泌液に、その子の性別や年齢、健康状態が反映されており、これが縄張り行動に深く関わっているとも言われています。
我々にとってはただ臭いだけですが、動物同士では「おっこの匂いは3歳の健康なオスの匂いだな。近づくのはやめておこう」なんて感じているのかもしれません。
話は逸れましたが、肛門腺を摘出する理由は2つあります。
1 繰り返す肛門腺の炎症
2 肛門腺の腫瘍
今回は肛門腺に腫瘍が出来たため肛門腺ごと腫瘍を摘出する手術を行いました。
まずはうつぶせの状態にします。糸で肛門腺の位置に目印をつけます。
皮膚を切開し、目的の肛門腺を探します。
肛門腺を見つけたら、取り残しがないように丁寧に摘出していきます。
皮膚を縫合して終わりです。
摘出した肛門腺です。
肛門腺の腫瘍は外から見えない部分にあるため、比較的早期発見が難しいと言われています。
今回は普段から病院で肛門腺を絞っている子であったため運良く発見ができました。
手術お疲れ様でした。よく頑張ったね。