【症例報告】吐きそうで吐かない

今回は吐きそうで吐かないを主訴に来院した子です。

話を聞くと吐くことはなく、ご飯もよく食べ、急いで食べることもないとのことでした。また下痢の症状もありませんでした。体重も依然と比べてむしろ少し増えており、ぽっちゃりめでした。

んー、この子で吐くかなー?

というのが印象でした。身体検査を進めていき、お腹の張りや痛みはなく、口の中に何か詰まってる感じもありませんでした。オーナーさんとの問診でどのときに吐きそうになるかを聞くと

興奮したとき

リードを引っ張ったとき

でした。それを聞いて

あーなるほど喉だな、気管だな、気管虚脱だな!!

と気づきました。そこで喉を押してみると

IMG_3487

このように咳をしました。そうです、オーナーさんが気にしていた吐きそうで吐かない動作は咳だったのです。オーナーさんの目の前でやってみると

これこれ、この症状!

ってことでした。病名は先ほど述べた通り

気管虚脱

でした。気管が虚脱する、つまり、つぶれることにより空気の通り道が狭くなり咳を誘発していました。チワワちゃん、トイプーちゃん、ヨーキーちゃんなどの小型のワンちゃんで発症が多いですが、この子は珍しく10キロほどの子でした。

血液検査やエコー検査ももちろん大切ですが、その前の問診と身体検査はやっぱり大事だよなーと改めて感じた瞬間でした。

症状がひどい子だと手術もありますが、この子の場合は軽度な症状だけだったので、

首輪ではなく、ハーネスにしてもらう

体重を落としていく

だけで特に薬も処方しませんでした。

え、それだけ?

と思うかもしれませんが、軽度な子であればそれだけで治ります。

あー太ってて良かったー

という子に今まで出会ったことがないのでだまされたと思って一度ダイエットをしてみるのをお勧めします。