今回は誤嚥性肺炎についてです。難しい漢字ですね。
ごえん
と読みます。
誤嚥性肺炎は細菌が唾液や食べ物と一緒に飲み込まれ、気管支や肺に入ることで発症する疾患です。人間でもお年寄りの方がなってしまう怖い病気です。
今回の症例は少し吐いた後から急に元気がなくなったとのことで来院しました。
ここでレントゲン検査の見方ですが、大雑把に言うと空気が黒く映り、硬いもの液体のものが白く映ります。そのことを覚えときながら来院直後のレントゲン検査を見てみましょう。
これはバンザイしてるレントゲンになります。赤い線で囲ったところは肺、黄色は心臓、青は胃のガスを表しています。肺は本来空気を含みますので、右側の心臓周囲の白い部分は異常所見になります。
空気が入ってないよー
苦しいよー
ってことです。右肺中葉の不透過性亢進といいます。
吐いてから元気がないとのことなので、前から肺炎があったわけではなく、誤嚥してからの肺炎が最も疑わしくなります。そう、つまり誤嚥性肺炎ってことです。
治療はICUでの酸素室管理、抗生剤投与、気管支拡張剤、抗炎症剤が基本となり、今回吐いてしまってからなので初期には制吐剤を使用しました。
4日間の入院治療後に撮ったレントゲンがこちらになります。
心臓の右側に見えいていた白い部分がすっかりと消えたのがわかります。
この子は元から病院ではご飯を食べない子だったので、これ以上の入院は必要ないと判断し、1週間分の薬を持って無事に退院しました。
この症例の場合、寝ながらご飯を食べたり、水を飲む習慣がありましたので、体の高さに合うようにお皿を用意してもらうことで誤嚥の予防をしてもらっています。この子だけでなく高齢になってくると、物を飲み込む力だけでなく、首を曲げる筋力も低下するので、予防を兼ねて、お皿の高さの見直しも検討してもらえると助かります。