【症例報告】上皮小体腫瘍

こんにちは~獣医師の崔です^^

今回は、頚部にできたしこりについてです!

 

 

猫 ペルシャ 13歳 オス

頚部が腫れているという主訴により来院されました。診てみると、左側頚部に、水が溜まっているかのような10cmほどのふくらみが触知されました。検査により液体の貯留が確認できたので、針を刺して抜去しました。透明な液体が100mlほど抜けました。

後日、また同様に頚部が腫れてきたということもあり、積極的な原因の究明としてCT検査を実施しました。(当院にて)

 

 

 

 

 

 

CT検査の結果、甲状腺や上皮小体といった内分泌器官からの発生が疑われました。腫瘤が食道や気管を圧迫しています。

 

 

検査結果や患者の一般状態などを踏まえ、今後の治療方針を飼い主様と相談したところ、外科切除となりました。

 

<手術写真>

 

 

 

 

切除した組織を病理検査に出しました

 

結果は、 上皮小体主細胞腺腫(良性腺腫) という診断でした。

 

☆上皮小体腫瘍☆

高齢の犬猫で発生する稀な腫瘍ですが、犬猫ではほとんどが良性で、悪性腫瘍の発生率は低いとされています。上皮小体はPTH(体内のカルシウム濃度を調節するホルモン)を合成、分泌します。上皮小体の腫瘍は原発性上皮小体機能亢進症に関連した高カルシウム血症の原因となるため外科切除が適応となります。

 

 

~術後の経過~

術後は特に給餌の仕方に気を付けました。頚部には重要な神経が走行しており、術後嚥下障害がおこる可能性があるため、誤嚥しないように細心の注意を払いました。術後10日目で抜糸を行い、術後1カ月が経過した現在はとても元気に過ごしています。

 

 

頚部にできる腫瘤にはいろいろな種類があります。軽症なものから大きな病気につながるものまでありますので、気になることがありましたら当院までご相談ください!