【症例報告】猫の消化器型リンパ腫

今回は暫く前から嘔吐が認められた猫ちゃんのお話です。

食欲はあるが、ご飯を食べたら直ぐに吐いてしまい痩せてきたとのことで来院しました。

身体検査上、背骨が浮き出ており、痩せ気味ではありましたが、本人は割と元気な子でした。

血液検査は問題ありませんでしたが、どう考えてもおかしいので、オーナーさんと相談してエコー検査をさせてもらいました。そうすると、

かなり分かりづらいかもしれませんが、胃の形が変形しているのと、胃壁が厚くなっていました。胃壁に対して、細い針を刺して悪い細胞がいないか(癌の可能性がないか)を確認しました。そうすると顕微鏡にて悪性所見が認められるリンパ球が多数存在し、

リンパ腫

である可能性が高いことがわかりました。この時点で抗癌剤治療を勧めましたが、オーナーさんがより癌であることに確信を持ちたいとのことで、別途料金はかかってしまいますが、外部の検査センターにて細胞を判断してもらいました。やはり結果はリンパ腫でした。この病気は基本的には外科療法ではなく、抗癌剤治療が適応になりますので、オーナーさんと相談し、CHOP療法というおよそ2ヶ月間は毎週来院してもらい、その後は状態により2週に1回来院してもらう治療法を選択しました。

治療を開始しておよそ4ヵ月ほど経ちますが、予定通りに抗癌剤が投与できなかったり、輸血が必要になったりと癌治療の難しさを痛感してますが、そんなこと素知らぬふりなのか、猫ちゃん自身はちゅーるを美味しく食べ、体重も増加してあと3回の抗癌剤治療でCHOP療法完走となります。

 

今回癌と分かり、このオーナーさんと猫ちゃんみたいに全力投球治療を行っていますが、勿論それだけが正解ではありません。来院の負担だったり金銭面の問題だったりと同じ病気でも治療のやり方はそのオーナーさんとペットの数だけ存在します。難しい状況になった時、ありきたりな表現ですが、Bestは難しくても少しでもBetterな生活が送れるように獣医師も頭を捻りますので是非ご相談してください。