今回は股関節脱臼のお話です。
この病気の治療は大きく分けて以下の2つ。
①非観血的整復=手術しないで脱臼を治す事
鎮静下にて手で脱臼を戻す方法。脱臼整復後は一定期間包帯を実施し、再脱臼を予防。再脱臼率は40%前後。
②観血的整復=手術で治す事
関節を残す固定法や関節を除去する骨頭切除術。再脱臼率は固定法で20%前後。
そこで今回は、
「非観血的整復後に再脱臼を認め、観血的整復を試みたわんちゃん」
をご紹介します。
脱臼整復前のレントゲン写真(矢印は脱臼した部位)
脱臼整復後のレントゲン写真(矢印は脱臼が整復された部位)
脱臼整復3日後のレントゲン写真。再脱臼が認められる。
包帯管理や安静にしながらも短期間での再脱臼。これ以上の非観血的整復は困難と判断し、観血的整復の骨頭切除術を実施。
手術前のレントゲン写真(矢印は脱臼が整復された股関節)
手術後のレントゲン写真(矢印は骨頭を切除した股関節)
脱臼した関節を除去することで、痛みの軽減が期待できます。
「関節がなくなっても歩けるのか」とご心配される方は多いです。しかし手術後はリハビリが必要になるものの、長期的には反対足と比較して60〜70%程度の機能回復が認められます。