こんにちは。
獣医師の高山です。
今回は紹介症例の報告になります。
5ヵ月の子猫が菜箸を加えた状態でジャンプしたあと叫び声をあげ、出血し元気食欲がない、口腔内を気にするとかかりつけ動物病院を受診されました。(残った菜箸は約2㎝程欠けていたようです)
かかりつけ病院にてレントゲン・超音波検査をするも確認ができず対症療法にて良化しましたが10日後、咳をした際に口から出血が見られたため麻酔下にて探査するも見つからず、、
後日貧血のため輸血が行われました。
菜箸が体内にまだ残っている可能性があり、CT検査など精査、治療をご希望され当院に来院されました。
来院時、軽度貧血、左耳の下が腫れていて、細菌感染を起こしている状態でした。
術前検査を行い、全身麻酔下でCT検査を行いました。

CT検査にてちょうど腫れている部分に菜箸が刺さっていることを確認し、そのまま摘出手術、洗浄処置を行いました。
画像で見ていきましょう!

創部直上を切開し探査をしていくと…


約2.5㎝の菜箸の先端が無事摘出されました!!
太い血管が近くにあり、神経もたくさん通っているので傷つけないように慎重に摘出を行いました。
感染が起きていましたのでしっかり洗浄し閉創しました。
口腔内の様子を見てみると
穿孔創がありましたが、すでに塞がっていました。


術後は抗生剤投与と消毒管理を行い、経過はとても順調でした。
2週間後に抜糸を行い、貧血の改善も確認できたので治療終了になりました。
すべての異物が今回のようにはっきりうつるとは限りませんが、異物に対してもCT検査はかなり有用です。
レントゲン検査とCT検査は同じX線を使っているのですが、レントゲン検査は一方向からX線をあて体内を2次元的に画像化するのに対し、CT検査は体のまわりからX線をあて3次元的に画像化するため、より高精度な画像が得られます。
そのため、今回のようにレントゲン検査でうつらないものでもCT検査では検出することができました。
子犬・子猫ちゃんは特に好奇心旺盛で色んなものを齧ってみたり遊んでいるうちにおもちゃを飲み込んだり、食べものじゃないものでもくわえたりします。
お家での様子を24時間常に見ているということは現実的ではないと思うので、なるべくわんちゃん・猫ちゃん達の届く範囲に危ないものは置かないように気をつけてください。

